PCPSの構造をさらに学ぶ 遠心ポンプ編

こんにちは!えんぴつです。

今回もPCPSについて勉強していきましょう。

PCPSの構造についてを学んでいきますが、PCPSについてはこれまでもいくつか記事にしていますので、良ければ参考にしてください。

見ていただけるとよりわかりやすいかと思います。

これまでのPCPS関連の記事をのせておきます。

PCPSを理解する!はじめてでもわかるPCPSの概要

PCPSで知っておきたい2つの循環の概念と不適応事例

PCPSについて学ぶ PCPSの構造ってどうなってるの?


遠心ポンプの設定について

以前の記事では遠心ポンプの構造について学びました。今回は構造をふまえて遠心ポンプの実際の設定についてふれていきます。

遠心ポンプはポンプ内のプロペラが回転することによって血液の流れがうまれます。

遠心ポンプが回ればまわるほど、送り出す血液の量はどんどん多くなっていきます。

逆に遠心ポンプが回らなくなると、血液は送り出せなくなります。

つまりは「ポンプの回転数によって血液の量が変動する」のだということがわかりますね。

そこで、実際どのくらい回転させたらうまく心臓を補助できるのだろうか?という疑問があるかと思いますが

これは〇〇回回転させる、というように決まっているわけではないようです。対象となる患者によってその設定はまちまちです。

想像していただくとわかりやすいと思いますが

体重が50kgの人と、体重が100kgの人がいたとします。

この人たちにPCPSをつけると考えた時、同じ設定にしても大丈夫なのでしょうか?同じ回転数で心臓の補助がたりるでしょうか?

また、1歳の子と50歳大人がいたとします。

それぞれにPCPSをつけなければならない時、同じ設定でも大丈夫でしょうか??

どれも人それぞれですよね。それぞれに違った設定のものになるはずです。例としてあげた年齢や体重以外にも現在の心機能の状態、肺の状態、血管系などのそのほかの疾病によっても設定変更はされていきます。

つまり「PCPSの遠心ポンプの回転数はその人にあわせて変えなければならない」ということなのです。


設定の基準はあるのか?

PCPSを導入するにあたって、全く基準が無いのか?というと、そうゆうわけではありません。

循環を維持していくうえで、患者の体重1kgあたり1分間に40mlほどの血液供給ができるように設定をしているそうです。

体重50kgの人だとだいたい「1分間に2Lほどの血液供給ができるように設定しよう」ということになります。

ちなみに、正常な心臓は1回の拍出で約70Lほどの血液を全身に送っているそうです。

だいたい1分間に60~100回ほど心臓からの血液の拍出があると考えると単純計算で1分間で約4L~7Lもの血液を送り出しているということになりますね。


ポンプの回転数と血液流量

遠心ポンプについて知っておきたいことがもうひとつあります。

ポンプの回転数が多くなる=流れる血液量が多くなる

ということはわかってきたところだと思います。

しかし、遠心ポンプの回転数が一定であった場合でも流れる血液量が一定であるとはかぎらない、ということがあるのです。

え?なんで?言ってること違うけど今までのは何だったの?と思うかと思いますので説明していきます。

遠心ポンプの回転数が一定であった場合でも流れる血液量が一定にならない原因としては、血液の流れが、体の中の血管にかかる抵抗や回路の状態によって左右されてしまうということが関連しています。

こう補足がつくとわかりやすいですね。

血液を送り出す先にある抵抗が強いときは、回転数は一定の場合でも流れる血液量は少なくなる

逆に、血液を送り出す先に抵抗が弱いときは、回転数は一定の場合でも流れる血液量は多くなる

ということなのです。

血液を送り出す先の抵抗が強くなってしまう原因としては

・送る先の血液量が多い状態である

・血管の狭窄がある

・PCPSの回路がまがってしまっている

などが考えられます。

血管内は見えないパターンがほとんどなので見ただけではわからないかと思いますが、回路に関しては目に見えるところになるので

回路がまがっていないか、上に物がのっていないか、血栓などの異常はないか、など定期的に確認が必要です。PCPSの患者の治療に携わるときには気にしてみられる良いポイントだと思います。

さらに血液流量が変わる原因がありますのでそちらも確認していきましょう。

さきほどまでは血液を「送る」先の抵抗の有無での血液流量の変化を知りましたが、それよりも前の段階である血液を「抜き取る」ときでの血液流量の変化もあるのです。ここからはその抜き取るときの血液流量の変化についてみていきます。

体から抜き取ることのできる血液量が少なくなってしまった場合、回転数は一定であっても十分に血液流量を保てない状態になってしまうことがあります。いわゆる「脱血不良」という状態ですね。

原因としては、患者の体の血管内に流れる血液の量が少ない状態になっていることが考えられます。主に血管内脱水の状態になっているということです。

その場合はいくら遠心ポンプががんばっても十分に血液を流すことができません。

そうした場合、血管内の脱水をなんとかするために輸液を増やしたり、輸血をしたりといった対応が必要となります。

これらの様々な原因によって、遠心ポンプの回転数が一定でも血液流量は様々な原因で変化します。安全に治療ができるようにするためにもポンプの回転数の設定だけではなく、血液流量の変化にもしっかり注意をしていきたいですね。


今回の遠心ポンプの勉強はこれで終わりたいと思います。おつかれさまでした!

ちょっとずつ難しいところもあるかと思いますが、ざっくりと「こうゆうものなんだ」と理解ができるさわりの部分になれたらうれしいです。

次回は人工肺の設定について考えていきましょう。

ありがとうございました。

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