みなさんこんにちは!えんぴつです。
今回の記事はタイトルの通りです。いきなりですが、現在勤務しているICUがコロナ対応のICUになりました。
そのことについて少しずつですが書き残していけたらいいなと思っています。
正確には去年(2020年)の第1派のときからICUでコロナウイルスの対応を必要とされてきました。勤務先の病院はそれなりに大きい病院でしたので、重症患者の対応を余儀なくされました。
あのときからずっとコロナとともに駆け抜けた1年です。
まったくの突然の体制変更だったことで、今までの普通の内科系ICUが1からコロナウイルスの対応を考えていく状況におかれ、大変だったことを少しずつまとめていけたらいいかなと思っています。
こんな状況ですので、新たに作られていくコロナ専用の病院もたくさんあります。
でも新しくできた病院ではきっと、まったくはじめましてのメンバー、決められていない病院の方針、全部最初からマニュアルを作っていかなければならない状況、どうしたらいいか全くわからない…
そんな現場が抱える大変さが言い切れないぐらいあるのではないかなと思います。
コロナによって、いままであたりまえだった普通の診療ができない状況。そんな中での対応がどれだけ大変なのか実感している自分だからこそ
「何が大変なのか?」「なにがそんなにちがうのか?」「どこが人手不足の原因なのか?」
といったことが見えてきたので、どこかにいる同じような境遇で働く誰かと共有ができたらいいなと思っています。
コロナの対応に追われる同志のみなさん、共感してくださるところがあるのではないかなと思います。先が見えませんがとりあえず1日を一緒にのりきっていきましょう。
突然コロナ対応になりました
現在勤務しているICUはもともと内科系のICUでした。
心不全や肺炎、敗血症、肝不全、腎不全などの重症患者が多く入院されていました。
今回のコロナ(COVID-19)は外科的な治療ではなく内科的な治療を必要とします。そのため内科系ICUに白羽の矢が立ちました。
びっくりしたのは本当に突然のコロナ対応であったことです。
病院側からは、スタッフにはとくに何の説明もありませんでした。コロナ患者の受け入れは内科系ICUにて行う、と文書でひとことあったのみ。
未知の感染症に立ち向かうのに、たった紙切れ一枚、ひとことのみでのコロナ対応のはじまりでした。
愚痴になりますが、もうちょっと看護師や医師、看護助手などのスタッフに「最近中国からはいってきたウイルスに感染した患者の受け入れをしなきゃいけないんだけど、大丈夫?このままここのICU勤務でもいい?」など異動を含めた配慮があってもよかったんじゃないかと思います。
スタッフには妊婦さんや小さい子供を持つ親、高齢の家族と同居しているスタッフもいましたが、全く配慮などありませんでした。
配慮がないのは今もかわりませんけれど。
きっともう強制的にやらせるしかないと思ったんでしょう。そう考えるのもわかりますが、働く人がいてこその病院じゃないんですか?と思いました。
理不尽な運営ですよね。看護師がストライキをおこしたらなにもできないんだからもうちょっと配慮してくれてもいいのになと思います。
コロナ対応の始まりで大変だったこと
さて、突然のCOVID-19対応におわれることになった私たちですが、大変だったことをお伝えしていきます。
①ICUの構造が感染症対策ができるようになってない
②マニュアルを1からつくりだした
③対応スタッフの決め方
この3つはとくに大変だったこととしてあげられるかなと思います。
①ICUの構造が感染症対策ができるようになってない
ICUでは個室がほとんどありません。そのため感染症対策でのゾーニングにとても苦労しました。
クリーンゾーンの青、レッドゾーンとの境目の黄、感染者の生活区域になる赤などゾーニングをしたいわけですが、個室がない空間では一切のゾーニングができませんでした。
人の出入りがある以上、しっかりとした仕切りが無いことには正しくゾーニングができません。また、COVID-19の場合はエアロゾルとしての感染伝播もあるためしっかりとした区分けが必要でした。
そのため個室のぶん(だいたい1~3床)しか患者の受け入れができませんでした。さらにいえば、COVID-19の患者と今までと同じ内科の重症患者もとの両方を受け入れていたため、内科系の患者が多くなればCOVID-19の患者はみられない状況下にありました。
現在はゾーニングのためにビニールカーテンなどで天井から床まで仕切りができました。
さらに今までみていた内科系の患者がみられないほどに感染者が増加して重症者が増えたため、内科系ICUは完全にCOVID-19患者のためのICUに変更となりました。現在は外科系ICUにも協力してもらって受け入れをしています。
重症でも病棟管理ができる場合は一般病棟にも協力をしてもらっている状況です。なかなかどこのスタッフも辛い状況におかれています。
②マニュアルを1からつくりだした
突然のCOVID-19の対応で、マニュアルは全くありませんでした。
病院側から何か提案があるわけでもなく、対応に迫られ、スタッフの安全上すぐに対応の仕方を統一する必要がありました。待てる状況ではなく、ICUの看護師、医師、助手、放射線技師、臨床工学技士にも声をかけつつ1からのマニュアル制作がはじまりました。
先ほどのゾーニングの仕方から人の動きの導線、手指消毒のタイミングと設置場所の決定、PPEの着脱方法の統一化、採血検体などの採取方法から提出の方法の決まり事、輸液ポンプや呼吸器など使用する器械の管理方法、リネン類の分け方と提出までの日数の変更、レントゲン撮影時やCT移送時の注意事項……
ぱっと思い出すだけでもかなりの量の事柄を決めなくてはなりませんでした。
感染対策をしながら業務をすることは、今までの業務と全く変わるのだと知りました。
こうした1からのマニュアル制作は、お互いに考えながら意見を出し合い、おかしいところはすぐに修正し、不都合なところは改善できるやり方はないのかなど話し合いができる…そんなスタッフ同士の普段からの円滑なコミュニケーションや対等な関係性、信頼がなせることだったと思います。
マニュアルは病院独自のものをそれぞれ制作していると思います。とくに国から「ぜったいこうしろ!」というものも出されていませんし、その病院の状況にもよると思いますので差異がでてくるんですね。
私も現在の病院のマニュアルしか知りません。この記事をみている方の中で「うちではこんな工夫してるよ。」「ここがイマイチだと思ってるんだよね。」などCOVID-19の対応のことで教えてくださる方がいらっしゃれば、ぜひコメントで教えてください。
③対応スタッフの決め方
さきほどちらっと触れましたが、最初のほうはCOVID-19の患者と内科系の重症患者が同一ICUの管理になっていました。
そのためスタッフをどのようには位置するかはとても大変なことでした。
基本的には感染を防ぐためにCOVID-19の患者に対応するスタッフは普通の内科重症患者のベッドサイドに入ることができません。
つまり、COVID-19の対応をするスタッフ、そのほかの内科重症患者対応をするスタッフと完全に区別をしなくてはならなくなりました。
内科系重症患者の中でもPCPSなどの補助循環を使用しなくてはならない患者や小児患者など、ICU経験が浅いと担当できない場合が多く、酸素投与や呼吸器管理など比較的みやすい患者に該当してしまうCOVID-19患者の対応には同じスタッフが対応せざるを得ない状況になっていました。
今でこそCOVID-19患者のみのICUであり、スタッフの対応の数に大きな差はありませんが、はじめのころは人によってCOVID-19対応をする日がとても多いという差がありました。
危険手当もでておらず、COVID-19の対応をしたからということで感染リスクを高めることが申し訳なくて休憩室にも一緒に居ずらい、他の病棟のスタッフからも煙たがられる、などCOVID-19患者対応にあたるスタッフの精神的な疲労が大きくなっていきました。
私もどちらかといえばICU経験が浅いほうでしたのでCOVID-19対応におわれるほうが多かったほうの人間です。
働いて患者のことを考えている間はとくになんともないのですが、休憩時間や勤務終わり、休みの日などのふとした瞬間にとてもつらくなる瞬間がありました。夫に泣きついたこともありました。
今は全員でこのコロナ禍を乗り越える!という気持ちでいられていますが、当時は今思えば結構精神的にストレス過多な状態だったなと思います。
全国の感染拡大がとまらない中で、同じようにCOVID-19の対応をしている医療者の皆さんと、一緒に乗り越えていきたいです。
2月までには感染拡大が終わると思っていそうな緊急事態宣言を出す政府には正直何の期待もできませんが、私たちはただ、目の前の患者に寄り添って、治療をすすめていかなくてはいけません。
何度もストライキをしようと思いましたが、患者のことを思うといつもできません。
一緒にがんばりましょう。
コロナの記事はこれからちょくちょく書いていこうかなとおもいますので、よろしくおねがいします。